歯をぶつけてしまった際の治療
今回は、歯をぶつけた際の応急処置と実際の治療について簡単に説明します。
実際に歯をぶつけたときにはお子さんご本人も、保護者の方も慌てることが多いのではないかと思います。あらかじめ目を通していただければ幸いです。
応急処置
①歯の痛み以外の症状ががある場合
頭痛や吐き気、嘔吐、めまいがみられる場合には歯科医院よりも先に医科の専門診療科(脳外科など)を受診されることをお勧めします。
②歯ぐきから出血がある場合
濡らしたガーゼなどで出血しているところを清潔にして、ガーゼでおさえて止血を行います。歯ぐきが切れていたり、歯の位置がずれている可能性もあるため早めに歯科医院を受診しましょう。
③歯が抜け落ちた場合
受傷後30分以内の迅速な処置が望ましいです。
抜けた歯はゴシゴシと表面をこすったりせずに、清潔な手で歯の表面についた汚れを水道水で洗い流しましょう。歯の根っこの表面にくっついている膜(歯根膜)が重要となるので歯の根っこの部分は持たず、歯の頭の部分を持って洗ってください。
抜け落ちた歯を『歯の保存液』や『牛乳』、なければお水につけて乾燥させないようにしてお持ちください。出来るだけ早く歯科医院を受診しましょう。
外傷後の治療
まずはレントゲン写真を撮影することが多いです。歯ぐきの中で歯の根っこが折れていないか、歯の周りの骨が骨折していないか。欠けている場合は歯の神経とどのくらい近くで欠けているのを確認します。
歯が欠けた
小さく欠けた場合にはプラスチックの詰め物でかたちを整える修復処置を行います。
小さく欠けた場合、またほとんど欠けていない場合でも時間が経ってから、歯の神経が弱ってしまい、痛みや歯の変色、歯ぐきの腫れが起こる可能性もあります。定期的な経過観察が必要となります。
歯が大きく欠けて神経に近い、または神経が露出している場合には早めに神経の治療が必要となる可能性があります。また、その後被せ物の処置をする場合があります。
歯がグラグラしている
揺れが軽度の時は、時間が経つとおさまることが多いです。
揺れが大きい場合には、隣り合った歯と固定をして揺れがおさまるまで安静にして様子を見ます。
歯の位置がずれた、歯ぐきに入り込んだ
乳歯の場合⇒元の位置まで引っ張り出して、周りの歯と固定してその位置で安定するまで待ちます。
永久歯の場合⇒生えかけの永久歯の場合は生えてくる力を期待してそのまま経過を追うこともあります。深く埋まってしまった場合には元の位置に引っ張り出して隣り合う歯と固定を行います。
歯が抜け落ちた
条件が良ければ再植を試みることがあります。抜け落ちた歯を元の位置に戻して、隣り合う歯と固定を行います。歯ぐきからの出血が多い場合には歯ぐきを縫うこともあります。
歯ぐきが腫れた、歯が変色した
ぶつけてすぐ歯が一時的に充血している(赤みを帯びた色)場合にはだんだんと歯の色は回復することが多いです。
数ヶ月経ってからだんだんと歯の色が黒ずんでくる場合は、歯の神経が弱っている可能性が高くなります。レントゲン写真で定期的に確認して、根の周囲に病変ができていないかを早めに発見することが重要です。
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