歯医者さんのフッ素はどういう効果があるんだろう? もう園で塗ってもらったから今日は塗らなくてもいいかな?
こんにちは歯科医の原口です。
お子さんのお口のお掃除が終わった後にフッ素を塗って「30分水を飲まないでね」と言われてお子さんが帰ってくるというのがいつものお掃除の日の流れです。
フッ素って、最後に塗ってしかもうがいも出来ないなんて、それだけの理由があるか気になりますよね?
今日はフッ素を塗るとどんな効果があるのかを含め、フッ素について全体的にお話していこうと思います。
フッ素を塗るとどんな効果があるのか
フッ素は、歯の健康を維持し、虫歯を予防するために非常に重要な役割を果たします。主に三つの効果があります。
- 歯質の強化: 歯の表面の白くてかたい部分のエナメル質を酸に溶けにくい性質に変え、虫歯への抵抗力を高めます。具体的には、歯の主成分であるハイドロキシアパタイトを、より安定したフルオロアパタイトという構造に変化させます。
- 再石灰化の促進: 虫歯になりかけた歯(初期の脱灰)の表面から溶け出したカルシウムやリンを再び歯に戻す(再石灰化)のを助け、自然治癒を促します。
- 虫歯菌の活動抑制: 虫歯の原因となる細菌の酵素の働きを弱め、酸が作られるのを抑えます。
どういったところでフッ素が活用されているか
歯科では、様々な方法でフッ素を利用して虫歯予防を行います。
- フッ化物歯面塗布:歯科医師や歯科衛生士が、高濃度のフッ素化合物を歯の表面に直接塗布する方法です。特に、生えたばかりの歯や、虫歯になりやすい歯に行うと効果的です。お掃除の最後にするフッ素もこれにあたります。
- フッ化物配合歯磨き剤:家庭で日常的に使用できる歯磨き粉にフッ素が配合されています。歯磨きによって歯の表面にフッ素を行き渡らせ、虫歯予防効果を発揮します。
- フッ化物洗口液:フッ素を含んだうがい薬で、歯磨き後の 追加的な 虫歯予防として使用されます。特に、虫歯リスクの高い方や、矯正治療中の方に推奨されることがあります。
- その他:歯科医院によっては、フッ素徐放性の材料を使用したり(以前お話させていただいたシーラントとかですね)、 高濃度のフッ素ゲルをトレーに入れて 家庭で使用する方法などがあります。
フッ素の安全性について
フッ素は、適切な量を使用すれば非常に安全で、虫歯予防に有効な物質として広く認識されています。国内外の多くの研究機関や歯科関連団体が、フッ素の安全性と有効性を 確認 しています。
しかし、どんな物質でも過剰に摂取すると、体に悪影響を及ぼす可能性があります。
過ぎたるは猶及ばざるが如しですね。
普通の水だって大量に飲めば中毒症状が出て、体に悪影響を及ぼします。
フッ素の場合、大量に摂取すると急性中毒(吐き気、嘔吐、腹痛など)や、慢性的に過剰摂取すると歯のフッ素症(斑状歯)や骨のフッ素症を引き起こす可能性があります。
ただし、歯科で使用するフッ素の量や濃度は、安全性を考慮して厳密に管理されています。
これらを前提として虫歯予防で使われる様々なフッ素の安全性について一個一個説明します。
- フッ化物歯面塗布:歯科医院で使用するフッ素の濃度は高いですが、塗布する量はごく少量であり、ほとんどが歯の表面に作用し、飲み込む量はわずかです。歯科医師や歯科衛生士の 専門的な 管理のもとで行われるため、安全です。
- フッ化物配合歯磨き剤:市販の歯磨き粉に含まれるフッ素濃度は、安全な範囲内で 調整 されています。 たくさん 飲み込まないように注意して使用すれば、安全に虫歯予防効果を得られます。特に、小さなお子様が使用する場合は、保護者の監督のもと、適切な量を使用することが重要です。
- フッ化物洗口液:洗口液も安全な濃度に調整されていますが、 たくさん に飲み込まないように注意が必要です。特に、小さなお子様が使用する場合は、自分で うがいができるようになってから使用しましょう。
重要なポイント
- 歯科医院で使用するフッ素は、専門家が適切な量と方法で使用するため、過剰摂取のリスクは非常に低いです。
- 家庭で使用するフッ素配合製品も、指示された用法・用量を守って使用すれば安全です。
- フッ素に対するアレルギー反応は非常にまれですが、過去にアレルギー症状が出たことがある場合は、必ず歯科医師に伝えましょう。
ご心配な場合は、歯科医師や歯科衛生士に遠慮なくご質問ください。