知覚過敏について
冷たいものを食べた時や飲んだ時にキーンと歯が沁みた経験はないでしょうか?
もしかしたらそれは知覚過敏が原因で沁みているかもしれません。
知覚過敏とはむし歯でもなく歯にヒビが入っているわけでもないのに歯が沁みる状態のことを言います。
知覚過敏の話をする前にまず歯の構造について話をします。
歯は3層構造になっておりエナメル質、セメント質、象牙質があります。そしてそれらに守られる形で中心に歯髄(神経)があります
エナメル質・・・歯の中で最も固い組織
象牙質・・・エナメル質よりは強度が弱く脆いです、象牙細管と言われる管がありそれを通じて歯髄に刺激が伝わります
セメント質・・・歯根部を覆っている組織です象牙質よりもさらに脆いです。歯根膜によって歯槽骨と結合しています。最初は歯茎に覆われていますが、歯茎が下がってくると見えてきます。
歯髄・・・一般に神経と言われる組織で、神経線維のほかに血管やリンパ管などが通っています。象牙質に栄養を補給しています。歯髄が刺激されると沁みや痛みが生じます。
知覚過敏の原因
何かしらの原因で歯茎が下がって象牙質やセメント質が見えてしまった状態だと、歯髄に刺激が伝わりやすいので過敏に歯髄が反応し沁みてしまいます。これが知覚過敏です。
知覚過敏の原因には以下のようなものがあります。
食いしばり・歯ぎしり
歯と歯が食事以外で咬み合っている時間が長い場合や歯ぎしりをする場合、歯に強い力がかかります。歯に加わった力は歯の脆い部分に集中するため象牙質やセメント質が一部分欠けてWSD(くさび状欠損)ができます。WSD部は欠けているため神経に刺激が伝わりやすくなるので沁みやすくなってしまいます。
予防方法としてナイトガード(夜にはめるマウスピース)がおススメです。
強い力でのブラッシング
ブラッシング圧が強すぎると歯茎が退縮し、歯の根が露出し、セメント質が露出してしまうため沁みやすくなります。
また、歯の表面が削れることによっても沁みやすくなってしまいます。
歯ブラシの毛の硬さ
ブラッシング圧が適切でも歯ブラシの毛先が固すぎると歯の表面を削ってしまい沁みやすくなってしまいます。
歯が酸によって弱っている
お酢や柑橘系などの酸性の物を好んで召し上がる方は歯の表面が脱灰してしまい沁みやすい傾向があります。
また、逆流性食道炎の方も胃酸によって歯が脱灰して沁みやすい傾向があります。
知覚過敏の治療
歯の表面にコーティングを行う
歯の表面が欠けたり脆くなっている所にコーティングのお薬を塗ることによって歯髄への刺激を抑えることで沁みるのを防ぎます。時間が経てばコーティングのお薬は剥がれてしまいますが、唾液の中にあるカルシウムによって歯の表面が再石灰化されるためその後も沁みは改善されます。
ただ、知覚過敏の原因がまだ残っている場合は再度沁みる可能性があります。
歯に詰め物をする
歯のコーティングをおこなっても沁みが改善しない場合、歯の表面が欠けているところにCR充填(樹脂の詰め物)をすることによって、より強固に歯髄への刺激をブロックし沁みるのを防ぎます。
コーティングのお薬と違い剥がれにくいですが、食いしばりや歯ぎしりによりCRが取れてしまうとまた沁みてしまいます。
歯の神経を取る
どのような処置をおこなっても沁みが引かず、ズキズキ痛む場合は残念ながら歯の神経を取る治療が必要です。
歯の神経を取れば歯が沁みることは無くなります。
ご自宅でできる知覚過敏の予防方法
歯に必要以上に負荷をかけない
もし起きているときに食いしばりをしているなら意識してやめるようにしましょう。
寝ている時に食いしばりや歯ぎしりをされている場合はナイトガードの装着をおススメします。当医院では作成を行っておりますので気軽にお越しください。
歯磨き粉や歯ブラシを見直す
歯磨き粉の中には知覚過敏に効く成分が入ったものがあります。そういった歯磨き粉を使用することで予防効果があります。
また、歯ブラシは「やわらかめ」か「ふつう」を使用し200gくらいの力でブラッシングしましょう。
酸性の物を飲食する際は食後に水やお茶を飲む
お酢や柑橘系、炭酸飲料水を飲食した後に水やお茶を飲むことで、より早くお口の中が中性になるため歯の脱灰を防いでくれます。
まとめ
知覚過敏はむし歯と違い毎日の習慣を改善することで沁みが落ち着くことがあります。
ただ、沁みがなかなか引かない場合や沁みが酷くなった場合やズキズキ痛みがある場合は、隠れてむし歯になってしまっている可能性もあるため、早めの歯医者の受診をおススメします。