歯が無い部分を治療したいけど、治療法はブリッジと入れ歯しかないの?
こんにちは、歯科医師の原口です。
前回入れ歯、前々回のブリッジと歯がなくなった部分の治療法をお話してきました。
今回もその流れで、治療法を一つお話していこうと思います。
その治療法とは、インプラントです。
皆さんも一度は名前を聞いたことがあるかもしれません。
しかし、入れ歯など比べて「インプラントが何をどうする治療なのかを知ってるよ」という方は多くないんじゃないかなと思います。
今回はインプラントがどのようなものなのか、わかりやすく説明していこうと思います。
このコラムをよんでお知り合いに『インプラントってこんなものだよ』と説明できるくらいになっていただけたら嬉しいです。
インプラントとは
インプラントとは、歯を失った部分の顎の骨に、人工の歯根(インプラント体)を埋め込み、その上に人工の歯(上部構造)を取り付けることで、天然歯に近い機能と見た目を回復させる治療法です。
インプラントの構造
インプラントは、主に以下の3つの部分から構成されています。
- インプラント体(人工歯根): 顎の骨に埋め込まれるチタン製のネジのようなものです。骨と結合する性質(オッセオインテグレーション:骨結合)を利用して、人工歯の土台となります。
- アバットメント(支台): インプラント体と人工歯を連結する部分です。
- 上部構造(人工歯): セラミックやジルコニアなどの素材で作られ、見た目や噛み合わせを回復させる人工の歯です。
簡単に言うと、顎に植えたねじの上に土台を立てて、かぶせ物をするってことですね!
次にインプラントのメリットや注意点をお話していきますね。
インプラントのメリット
- 天然歯に近い機能:顎の骨にしっかりと固定されるため、自分の歯のようにしっかりと噛むことができます。
- 優れた審美性:素材や形を歯に近づけて作製できるため、見た目が自然です。
- 周囲の歯に優しい:ブリッジのように隣の歯を削る必要がなく、入れ歯のように他の歯に負担をかけることもありません。
- 顎の骨の吸収を抑制:歯を失ったまま放置すると顎の骨が痩せていきますが、インプラントは噛むことで骨に刺激を与えるため、骨の吸収を抑制する効果があります。
- 長期的な安定性:適切なメンテナンスを行えば、長期間にわたって機能します。
インプラントの注意点
- 外科手術が必要:顎の骨にインプラント体を埋め込む手術が必要です。
当院ではCT撮影、手術用のガイド作製を行い、手術が適切に終わるように工夫しています
- 治療期間が長い:手術後、インプラント体と骨が結合するまで数ヶ月の治癒期間が必要です。
この治癒期間は、上顎と下顎でも違い、骨の状態によっても変わってくるので一人一人に合わせた治癒期間を設定し、お伝えしていきます。
- 費用が高い:後ほど詳しく述べますが保険適用外の自由診療となるため、ブリッジや入れ歯に比べて費用が高額になります。
- 感染のリスク:しっかり歯磨きなどを行えていなかった場合、手術部位の感染や、インプラント周囲炎(インプラントの歯周病)のリスクがあります。
- 全身状態による制限:全身疾患の状態によっては、インプラント治療を受けられない場合があります。
インプラント治療の流れ
一般的なインプラント治療の流れは以下の通りです。
- カウンセリングと精密検査:口腔内の状態、骨の状態、全身状態などを詳しく検査し、治療計画を立てます。CT撮影などの精密な画像診断を行います。
- インプラント埋入手術(一次手術):局所麻酔下で、顎の骨にインプラント体を埋め込みます。
- 治癒期間:インプラント体と骨がしっかりと結合するまで、通常3〜6ヶ月程度待ちます。
- 二次手術:歯茎を開き、アバットメントを取り付けるための準備を行います
- アバットメントの製作:型を取り、アバットメントを作り、装着します
- 人工歯の製作:アバットメントの型を取り、患者さんの歯の色や形に合わせて人工歯を作製します。
- 人工歯の装着:作製した人工歯をアバットメントに装着し、噛み合わせなどを調整します。
- メンテナンス:インプラントを長持ちさせるために、定期的な歯科医院でのチェックと適切な自宅でのケアが重要です。
歯科医師は、患者さんの骨の状態や噛み合わせ、審美的な要望などを考慮して、最適なインプラントシステムを選択します。
インプラントの費用
インプラント治療は自由診療のため、費用は歯科医院やインプラントの種類、本数、追加手術(骨造成など)の有無によって大きく異なります。一般的には、1本あたり40万円程度が目安とされていますが、より高額になるケースもあります。治療前に歯科医院から詳細な見積もりをお渡しします。
インプラント治療は、失われた歯の機能を自然に回復できる優れた治療法ですが、外科手術や長い治療期間、高額な費用といった側面もあります。治療を検討する際には、歯科医師と十分に相談し、メリットと注意点を理解した上で決定を下すことが大切です。
まとめ
ここまでインプラントがどういったもので、どうやって治療していくかお話させていただきました。
さらに細かい一人一人の治療計画などは実際に当院で治療を担当する院長先生がつきっきりで説明しますので、気になられた方はぜひご質問ください!