長崎県諫早市の歯医者

コラム


口の奥を触ると「オエッ」となる方へ…  嘔吐反射とは?


歯科治療を受けるときや、歯ブラシを奥歯に当てたときに「オエッ」と吐き気を感じたことはありませんか?これがいわゆる「嘔吐反射」です。嘔吐反射は体が持つ自然な防御反応の一つで、喉の奥や口腔内に異物が触れたとき、誤って飲み込んだり窒息したりしないようにする仕組みです。非常に重要な機能ですが、歯科治療や日常的なケアでこれが強く現れると、苦痛や不快感を伴い、治療やケアがスムーズに進まないことがあります。

この記事では、嘔吐反射の原因やメカニズム、そして歯科治療や日常ケアでの対策について、一般の方にも分かりやすく解説します。

○嘔吐反射が起こる仕組み

嘔吐反射は、口腔内や咽頭部(喉の奥)にある感覚受容器が刺激を受けると、脳の嘔吐中枢がそれを「危険」と判断し、反射的に筋肉が収縮することで起こります。これにより、異物が体内に入るのを防ぐ仕組みです。主に次の部位が刺激を受けると反射が誘発されます。

  1. 舌の奥(舌根)
  2. 軟口蓋(口の上の柔らかい部分)
  3. 咽頭(喉の奥)
  4. 口蓋垂

これらの部位は特に敏感で、ブラシや器具が触れるだけでも反射が起こることがあります。

○嘔吐反射が強く出やすい人の特徴

嘔吐反射には個人差があります。以下のような人は特に反射が起こりやすい傾向があります。

1.感覚が過敏な人

生まれつき口腔内の感覚が鋭い人は、少しの刺激でも強い反射が起こることがあります。

2.緊張しやすい人

歯科治療に不安を感じていると、ストレスや緊張が反射を強めることがあります。

3.過去のトラウマがある人

過去に歯科治療で嘔吐反射が強く出た経験があると、その記憶がさらなる不安や過敏を引き起こす場合があります。

4.解剖学的要因

喉が狭い、または舌が大きいなどの解剖学的特徴を持つ人も反射が出やすいとされています。

○歯科治療における嘔吐反射の影響

歯科治療では、口腔内にさまざまな器具を挿入する必要があります。例えば、歯の型を取るための印象材(型取り材)や、レントゲン撮影の際のフィルムを挿入する際に嘔吐反射が強く出てしまうと、作業が中断してしまうことがあります。これにより治療時間が長引き、患者さん自身も疲れてしまいます。

また、嘔吐反射が強いと歯磨きやフロスの使用が難しく、口腔ケアが不十分になることもあります。結果として、虫歯や歯周病のリスクが高まることがあります。

○嘔吐反射への対策

嘔吐反射を軽減するためには、いくつかの方法があります。以下に代表的な対策を紹介します。

1.精神的なリラックス

緊張や不安が嘔吐反射を強める原因の一つです。治療前に深呼吸をしたり、アロマテラピーなどを利用してリラックスすることが効果的です。また、歯科医師や歯科衛生士と相談し、不安を伝えることも重要です。

2.感覚を慣らす練習

日常的に歯ブラシやフロスを使い、少しずつ口の奥の方を刺激して慣れる練習をすることが有効です。歯磨き粉を使用する場合は、ミント系など刺激が少ないものを選ぶとよいでしょう。

3.姿勢の工夫

治療中に嘔吐反射が出やすい人は、診療台の角度を調整してもらうことも効果的です。仰向けに近い姿勢だと反射が強まることがあるため、角度をやや起こして治療を進めることがあります。

4.局所麻酔の使用

喉の奥や口蓋など、反射が起こりやすい部分に表面麻酔を施すことで感覚を鈍らせ、嘔吐反射を軽減する方法があります。

5.特別な器具の使用

嘔吐反射が強い患者さん向けに、小型の器具や感覚を抑える設計の器具が開発されています。たとえば、型取りの際には口腔内の奥に入れずに済む簡易的な方法を用いることもあります。

6.薬物療法

場合によっては、鎮静剤や抗不安薬を使用することも検討されます。これにより、全身のリラックス状態が促され、反射が軽減されることがあります。

○日常ケアでの注意点

嘔吐反射が強い人は、日常の歯磨きや口腔ケアにも苦労することがあります。以下の方法でケアを工夫してみてください。

1.短時間で小刻みに磨く

一度に長時間磨こうとせず、短時間で何回かに分けて磨くと、嘔吐反射が起きにくくなります。

2.歯ブラシの選び方

ヘッドが小さい歯ブラシを選ぶことで、喉の奥に当たる刺激を減らすことができます。

3.電動歯ブラシを試す

手磨きよりも軽い力で磨ける電動歯ブラシは、嘔吐反射を軽減するのに役立つ場合があります。

4.うがい薬を活用する

歯磨き後に口腔内をスッキリさせるために、うがい薬を使うと、ブラシを奥まで届かせなくても清潔さを保てます。

まとめ

嘔吐反射は誰にでも起こり得る自然な反応ですが、それが強く出ると歯科治療や日常ケアが困難になることがあります。しかし、原因を理解し適切な対策を取ることで、その影響を軽減することが可能です。もし嘔吐反射が強くて困っている場合は、一人で悩まず、歯科医師や歯科衛生士に相談してみましょう。治療やケアの方法を工夫することで、快適な口腔ケアを実現することができます。

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